【新唐人2011年11月21日付ニュース】中国甘粛省で、定員の7倍の園児を乗せていたスクールバスがダンプカーと正面衝突し、21人が死亡。そのうち19人が園児でした。これに中国人は心を痛めるとともに、政府への反発も沸いています。毎年、飲食、旅行、公用車へ投じられる予算は１兆元近く、日本円で12兆円に達する一方、教育への予算配分がまだまだ足りないためです。
11月16日の朝、甘粛省の幼稚園のスクールバスがダンプカーと正面衝突。バスは定員が9人でしたが、出来るだけ多くの園児を乗せるために、座席9席を勝手にはずす改造を行い、当時64人も乗せていました。
亡くなったのは園児19人のほか、教師と運転手がそれぞれ1人。事故が起こると、近くにいたレンガ工場の従業員10数人が救命活動に参加。そのうち1人が取材に答えてくれました。
レンガ工場の従業員：「救命活動に参加しました。子供を車から助け出して、病院に送りました。上は5～6歳、下は3～4歳。おじいちゃん、おばあちゃんと叫んだり、パパ ママと叫んだりして。現場は悲惨でショッキングでした。ひどい子は頭の皮がめくれて、血だらけでした。皮膚 鼻 耳から出血し、全身血まみれでした」
アメリカのある教師は、勝手にスクールバスを改造したことに驚きます。
米・中学教師 黄さん：「米国は法律遵守を重んじます。あんな多くの子供を乗せません。これが米国で起きたら、学区が訴えられます。親が訴訟に出て、大ごとになります。米国には人権があるからこんなことは起こりえません」
2006年、アメリカ・インディアナ州で大型高級SUV、「ハマー」が道端に停車中のスクールバスに衝突。ハマーは車半分が粉砕したものの、バスは無事でした。中国のスクールバスとは対照的です。
米・中学教師 黄さん：「米国の法律はスクールバスに定期検査を義務付けています。米国では子供の安全が重視されており、何事にも厳格な決まりがあります。たとえば、スクールバスが道端で停車中赤ランプを点灯していれば、周りを通る車はみな停車しなければなりません。子供との接触を防ぐためです」
中国の農村では、学校が遠くて通いきれないという理由で学校をやめる子供が少なくありません。そこで仕方なく、「改造スクールバス」が子供たちの選択肢になるのです。当局によると、小学校の安全事故のうち、7割が農村で起きています。
中国では毎年、2万人あまりの児童と生徒が交通事故で、障害を負ったり亡くなったりしています。去年7月1日、初めて小学校のスクールバスに関する国の安全基準が正式に実施されましたが、多くの貧困地区では予算不足のため、スクールバスを買えません。
甘粛省の事故を受け、ネットには怒りの声が渦巻いています。「1兆元のアメリカ国債があり、3000億元も公用車に費やしているのに、スクールバスが買えないのか」「教育省と交通省は子供の安全問題をどう考えているのか。中国の法律はお遊びなのか」
元雑誌記者の劉さんは、教育が腐敗し、法律が飾り物になっている根っこには独裁体制があると糾弾します。
元雑誌記者 劉逸明さん：「事故にとどまらず、これは人災です。人為的要素が招きました。責任を問われるべきは政府です。当局はまともなことに金を惜しみます。ただ自分のためには気前がよいです。だから今中国は国が富み、民は貧しいのです」
今年、中国政府の財政収入は10兆元、日本円で120兆円を超えました。しかし18年前に打ち出された、GDPの4％を教育に投じる目標は、いまだ達成していません。
ネットのメディアも、共産党当局に容赦ない批判を浴びせます。「中華民族は、自分たちの子供を絶えず傷つける民族にさせられた」。「後どれほどの子供の命を犠牲にすれば、スクールバスの安全を得られるのか」
新唐人テレビがお伝えしました。
-【禁闻】甘肃黑校车酿成惨祸-民众怒责政府.html
